
HULIC SQUARE TOKYO プロジェクト
新たな領域への挑戦、
HULIC SQUARE TOKYO
プロジェクト。

HULIC SQUARE TOKYO
「HULIC SQUARE TOKYO」は、地下に2つのフロアを持つ、地上13階建ての複合商業施設として2018年に開業。B1~3Fには「大人の町に、かつてない上質を。」をテーマに誘致した5つの店舗が、4F~13階には「華と粋」をデザインコンセプトに掲げた「ザ・ゲートホテル東京」を運営している。
竣工
2018年10月
規模
地上13階、地下2階、塔屋2階
用途
ホテル、商業施設
Member
-
T.O
観光ビジネス開発部 /
2013年新卒入社 /
教養学部卒業 -
H.I
営業推進部 /
2015年中途入社 /
政策・メディア研究科卒業 -
M.S
開発事業第二部 /
2016年新卒入社 /
理工学研究科卒業
※所属部署・役職・内容は取材当時のものです。
Part01

未知の領域、ホテル開発。
成功のカギは「指針」を
示すことでした。

HULIC SQUARE TOKYOの4〜13階に位置する自社グループ運営のホテル「ザ・ゲートホテル東京」の開発を担当しました。このホテル開発のプロジェクトで難しかったこと…それはもう、ほぼ全てですね(笑)。
というのも、当時のヒューリックではホテル開発の実績が少ない上、私自身は全くの未経験。アクセスできるノウハウも少なく、私にとっては何もかも0からのスタートでした。
ホテルコンセプト・ターゲティングの検討から事業計画の策定、設計・インテリアデザインの検討といったホテル開発の一連の流れを、「どうすればいいか」と考えながら日々走り続けていました。
ホテルの「価値」を考えぬく中で、「人は何にお金を払うのか」という根本的な問いについてよく考えるようになったと思います。オフィスビルや住宅なら駅徒歩何分でこのスペックだからいくら、とある程度定量的にはじき出せる。
しかし、ホテルはその方程式に頼れません。定量的な要素に加え、サービスがいいとか、感性をゆさぶられる佇まいとか、定性的な要素が複雑に絡み合ってできている。自分なりに答えを出すために、とにかく勉強を重ねました。マーケティングに関する本は、100冊以上読んだと思います。
ホテル開発を成功に導くプロセスは想像以上に難しいことだらけでしたが、険しい道だったからこそ、やり遂げた時の達成感も大きかったのだと、今になって感じます。

このプロジェクトに携わってひとつ気づいたことがあります。それは「指針を示す」ことの重要性です。
ホテル開発は、関わるステークホルダーの数が非常に多い。設計者やデザイナー、ゼネコン、ホテルオペレーターなど、たくさんの方々とコミュニケーションを取り、意図をすり合わせていく必要があります。そのため、それぞれの立場で意見を主張すれば、時にはぶつかることも。
そんな時に重要になってくるのが、全関係者が守るべき「指針」です。小さな領域で意見がぶつかった際にも、大きな方向性が明確になっていれば、もう一度そこに立ち戻って解決方法を導くことができる。大事な経験値になりました。
ザ・ゲートホテル東京の指針となったコンセプトは「華と粋」。華々しい銀座エリアと、繁華街も広がる粋な日比谷エリアの間にある有楽町エリアをまさに一言で表したコンセプトワードでした。
このコンセプトができてからは、チームとして一つになっていった実感がありますね。プロジェクトマネジメントは、関係者をただ強引に引っ張るのではなく、大きな「指針」を示すことが大切。このプロジェクトだからこそ、気づけたことだと思います。
Part02

ハードな条件下での
テナント誘致、
たくさんの人の
力を借りたからこそ
実現できた。

私が担当したのは、HULIC SQUARE TOKYOの地下1階から3階に位置する、商業施設部分のテナント誘致になります。
このプロジェクトのテナント誘致は非常に難航する場面が多かった。なぜなら、当初テナントエリアである4階分をまとめて一棟貸しするところが、開発の途中段階で「一つの色に染めないように」とリーシングの方針が変わり、フロアごとに分割貸しをすることになったためです。既に一棟貸しを前提とした設計で着工まで進んでいたことから、動線や設備などの制約がいくつか生まれてしまう状況にありました。
このままでは、テナントさまを誘致することができない。どのような提案をすれば、このHULIC SQUARE TOKYOにご入居いただけるだろうか。その答えを求め、自分の考えだけではなくあらゆる人にアドバイスを求めました。
実際のテナント候補の方々に意見を聞くのはもちろん、コンサルタントや同業他社の知り合いまで。とにかく何かヒントはないか、ひたすら聞き回りました。
そこで発見することができたのは、HULIC SQUARE TOKYOの立地認識が、銀座や日比谷でなく「有楽町」であるということ。そこで、「日本有数の商業集積地、銀座」と「文化芸術とオフィスが共存集積する、日比谷・丸の内」のちょうど中間にある「最もエキサイティングな街、有楽町」という場所の再定義を行うことで、テナントさまの誘致に成功することができました。

また、テナントさまの目線に立った「Win-Win」の提案ができたことも、テナント誘致成功の一助となったと認識しています。
例えば、1階にご入居いただいているシモンズギャラリー東京様のケースでは、4〜13階に位置する「ザ・ゲートホテル東京」との親和性に着目。ホテルの客室にシモンズ社製のマットレスを導入し、宿泊時にベッドを気に入っていただいた方に購入を促すことができるような施策をご提案。他のホテルや商業施設にはない、複合施設ならではのシナジー効果を活かしたテナント誘致をすることができました。
このプロジェクトを通して体感したことは、一人ではできなくても、周囲の力を借りれば実現できることもあるということ。今回のテナント誘致では、高いレベルの提案とハードな交渉を何度も繰り返しましたが、社内社外問わず協力してくれる方々がいたからこそ実現することができたものだと痛感しています。
ヒューリックが今後あらゆる形態の不動産に挑戦していく中で、今回の経験をどんどん活かしていきたい。未知の領域であっても、周囲を巻き込み、手を借りていけば、きっとどんな困難なことでも解決していくことができるはずですから。
Part03

建物と一緒に
成長することが
できた3年間。

私はHULIC SQUARE TOKYOの開発推進を担当しました。開発推進とは、主に着工から竣工までの建設過程のプロジェクトマネジメントを担うポジションのこと。
このプロジェクトを通して印象に残っているのは、やはりアサインされた時ではないでしょうか。私がこのプロジェクトに参加したのは、入社一年目の時。入社して初めて携わったのが、この物件の開発推進でした。
HULIC SQUARE TOKYOは、当時の社内の中でも目玉となるような開発として話題になっていたので、いきなり開発推進の主担当として任せてもらえると分かった時は嬉しかったですね。
このプロジェクトで特に苦労したのは、複数のチームの意見を集約し、建物に落とし込むというプロセス。複合施設だったため、ホテルチームと、テナントチームそれぞれの意見を聞かなくてはならない。しかも、ホテルに関しては社内に知見が少ない領域でもあったので、チームの皆とひとつひとつ「この設計でお客さまは使いやすいんだろうか?」と使う側の視点に立ち検証していきました。
テナント部分においても、途中で大幅な設計変更を余儀なくされる場面もありましたが、設計者・施工者に協力いただきなんとかスケジュールと予算を調整。日々多くのプロジェクト関係者と議論を重ねる中で、少しでも良い建物をつくるためにはどんなことをすればいいかを学ぶ機会となりました。

プロジェクトに関わっていた期間は約3年間。振り返ってみるとあっという間ですが、本当に密度の濃い時間を過ごすことができたと思います。
関わり始めた当初は、ただ上司の後についていくだけで精一杯でしたが、竣工が近づく頃には、自らが主担当となってたくさんの人とスムーズにコミュニケーションを取れるようになった。3年間という年月の中で、建物と一緒に成長していくことができたような感覚ですね。
このHULIC SQUARE TOKYOプロジェクトで経験した開発推進のノウハウは、現在所属している開発事業部の業務にも非常に活きています。開発段階で確認不足事項があったり、細かいところを詰め切れていなかったりすると、後々の開発推進段階で支障をきたしてしまう。だからこそ、後工程のことを考えて先手先手を打った行動ができるようになりました。
不動産開発において、一つとして同じ建物は存在しません。臨機応変に様々なことに挑戦していく必要があるということを、このプロジェクトを通して学ぶことができたと思います。